【葬儀(1)】
『親鸞閉眼せば賀茂川に入れて魚に与ふべし』
親鸞聖人晩年のお言葉です。
賀茂川は京都に流れる有名な川ですが、
晩年を京都で過ごされた親鸞聖人には、
賀茂川はなじみ深い川だったのでしょう。
「あの賀茂川に私の亡骸を捨ててくれ、そして魚に食べさせてやってくれ」
と言われています。
世間では葬式や遺骨を大事にし、
その遺骨を安置する墓も立派なものにするのがよい、
というのが常識になっています
これは日本だけでなく海外でも同じようです。
先日テレビのニュースで、
朝鮮戦争で戦死したアメリカ兵の遺骨を遺族が持ち帰った
と報道されていましたが、
欧米でも遺骨を大事にするのですね。
日本でも遺族が太平洋戦争の戦場であった南方の島々に行って
旧日本軍の自分の祖父母の骨を、
あるいは両親の遺骨を拾いに行くのが度々報道されます。
このように遺骨は大切に扱わなければならないものであり、
そのために寺があり、墓があるとみな思っていますから、
親鸞聖人が「川に自分の亡骸を捨ててくれ」と言われていることに驚く方も多いのではないでしょうか。
川に投げ捨てれば当然骨も散らばって無くなってしまいますから
遺骨を安置する墓もいらないことになります
されば「親鸞閉眼せば賀茂川に入れて魚に与ふべし」の言葉は、
親鸞聖人が「私の遺骨は別にどうなってもいいし、墓はなくてもいい、葬式なんかしなくていい」と言われているということです。
今日、親鸞聖人を開祖とする浄土真宗は、
日本の仏教の宗派で最大で、全国2万以上の寺院がありますが、
その浄土真宗の僧侶の多くは何を本業にしているかというと
葬式、法事、墓番です
親鸞聖人は葬式などしなくていい、遺骨や墓などいらない、
とご自身の名前を出してはっきり言われているのに
その浄土真宗、親鸞聖人の教えを継ぐべき使命を担う浄土真宗の寺院が
葬式や法事、墓番に奔走している現状は、いったいどうしたことでしょうか。
親鸞聖人の教えを伝えるべき寺がそうだから、
浄土真宗の門徒も、葬式や墓番をするのが浄土真宗であり、
死んだあとに用事があるのが仏教だと思い込んでしまっています。
今日葬式にかける平均額はイギリス12万円、ドイツ20万円、アメリカ44万円に対し、
日本は231万円と突出しています。
墓石も平均176万円と高額で、さらに土地代も必要です。
共働きで奨学金も借りてやっとやっと子供を大学に行かせる家庭が多い中、
この負担は馬鹿になりません。
ある50代の主婦が坊主への不満をこう語りました。
「毎月うちの仏壇に20~30分読経しにくる僧侶に、
母がその都度お布施に5千円包んでいたので、
今年から自分が変わって渡しているんですが、
ろくな挨拶や会話もせずお布施だけもらって帰って行く僧侶に、
だんだんこんなにお金出す意味あるんだろうかと疑問を持つようになって・・・・・・」
家事、子育ての傍ら、パートなどで生活費を稼ぐ一般庶民は
5千円稼ぐのにどれだけ大変かよくわかっているので、
坊主の態度がだんだん腹立たしく感じられるようになってきたのもよくわかります。
このような実態を見るにつれ聞くにつれ、
遺骨を大切にする人情に漬け込んだ葬式仏教に大衆は愛想を尽かし始めていることが知らされます。
いまにして親鸞聖人が
「亡骸は賀茂川に入れて魚に与えてくれ」
と仰った真意はどこにあったのか、かみしめなければ、
残るは死骸の仏教のみとなることでしょう。
仏教の葬儀のあり方を教えた内容はこちらです。
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