「世の中の 娘が嫁と 花咲いて
嬶としぼんで 婆と散りゆく」
一休の歌を通して話を続けております。
「この間まで、自分のことを娘だ、と思っていたのに、
もう息子が嫁もらって孫ができた。
いやぁ、月日がたつのは早いなぁ。」
と近所のお婆さんがしみじみと言っていたのを
子供の頃に聞いて
「そんなもんかなぁ。」
と思ったものですが、
今は共感できるようになってきました。
娘から嫁、嫁から嬶、嬶からお婆さんへと行くこのコース、
思いの外、早いのです。
急流を下るカヌーのように勢いよく進んでいってしまいます。
こないだラジオで「粉雪」が流れていたのですが、
今から10年前のヒット曲だと聞いて、
あれからもう10年か、と感慨に浸ってしまいました。
過ぎ去った10年間はあっという間に感じるのですが、
これからの10年間はまだまだずっと先のように感じられませんか。
さあ、あなたの今の歳に10歳、足してみましょう。
イメージしてください、
そのころ、あなたは何をされているでしょう?
▼顔のしわや体型はどうなっているでしょう。
▼会社ではどんな役職でしょう。
▼子供さんはいくつになりますか。
10年先と聞くと、ずっと先のように思うかもしれませんが、
過ぎ去った10年間はアッという間だったんですから、
これからの10年間もアッという間に訪れます。
すぐに現実にその歳がやってきます。
平均寿命80年、といったところで
【アッという間の10年間】×【数回】です。
アッ、アッ、アッ、アッ、・・・と何回か重ねれば
すぐその歳です。
激しい急流を下る船の行く先は死の滝壺が待っているのです。
それを一休は「散りゆく」と歌っています。