【自灯明(1)】
仏教に「自灯明(じとうみょう)」という言葉があります。
お釈迦様が亡くなられる際に「自らを明りとせよ。自己をよりどころとせよ」と説かれた教えです。
親の期待に応えようと懸命に生きてきた人は、親を失った時、どうしていいかわからなくなります。
会社に人生を捧げ、会社での仕事を生きがいにしてきた人は、退職した後に虚しくなります。
子供の成長を命に生きてきた人は、子供が巣立ったとき、胸にぽっかり穴が空き、これを「空の巣症候群」といいます。
自分以外の誰かを灯りとして、その人に前を照らしてもらって人生行路を歩いている人は、その人がいなくなったとき、真っ暗闇をさまようことになってしまうのです。
それでお釈迦さまは「自己を明りとせよ」「自分でよく考え、判断し、そして責任を持て」と教えられました。
そうすると、今まで人に依存し、うまくいかないと人のせいにし、外にばかり目が向いていた自分が、「回れ右」で、自己の内面に目を向けるようになります。
ここが仏教の出発点になります。
では自己を見つめていくと、何が知らされていくでしょうか。
今度はよりどころにならない、たよりない、弱い自分が見えてくるでしょう。
こんな自分がどうしたら確固たるものになれるか、明りとなるのか、そこが必ず問題になります。
まさにここに悩まれたのが親鸞聖人の求道でした。
そしてその解決をし、生涯かけて教えられたのが親鸞聖人の教えであり、わたしが最も伝えたい内容でもあります。
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