【有無同然(2)】
松本零士のマンガ『銀河鉄道999』は、
鉄郎が謎の女性メーテルとともに、
不老不死の機械の体をくれるという終着駅(幸せ)を
目指すというストーリーです。
その中にこんな話があります。
そこは科学文明がめざましく発達した国です。
しかもその科学が、戦争や犯罪に使われることがない。
その辺が今日の地球と違います。
オゾン層破壊とか、環境ホルモンとか、核ミサイルとか、
そのような科学の負の面がなく、
すべて人間が便利に、快適に生き易くなることにのみ
科学文明が使われている、まさに理想社会です。
第一次産業、第二次産業、第三次産業、
生産は全部ロボットがやってくれます。
農業も林業も漁業も人間が汗を流す必要もない。
重工業、製造業も、仕事は全部ロボットがする。
店員もウェートレスも、すべてロボットがするので、
人間はそのサービスを甘受するだけで、
仕事しなくていい!!毎日が日曜日♪
「カツ丼食べたい」といえば、
即座にテーブルの前にロボットが用意する、
しかもレトルトではない。
鉄郎は「ここは夢のような星だ。理想郷だ」と思います。
ところが意外なことに、その星の人はみんな目がドロンとして、
生気のない、つまらなそうな顔をしているのです。
働きもせず、“食っちゃ寝”を繰り返し、
楽ばかりしているからブクブクと太ってしまってます。
もちろんどれだけ太っても、医学も発達していますから、
生活習慣病にもならないのですが、
なにしろ皆つまらなそうなのです。
鉄郎は、その星の人と接し、
理想郷なんかではないことを知ります。
「この星は便利だ。だけど充実がない」
40年前くらいの漫画ですが、
21世紀の現代に生きる私たちの心を予言しているかのような
内容でした。
科学は、確かに生活を便利にします。
しかし、「充実」は、便利さとは関係なく、
人間の心に委ねられているのでしょう。
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