【布施(1)】
会社では入社式が終わり、これから新入社員研修が始まる時期です。
「社員を教育する」というと、様々な知識やスキルを叩き込み、教え込むこと
と思っている人が多いようです。
「詰め込み教育」という言葉もあるように、
短い時間でいかに多くのことを詰め込むか、が大事だと
思っている教育担当の社員もいます。
しかし本来の「教育」とは、どうあるべきか、
「教育」という言葉の由来から学んでみたいと思います。
「教育」という言葉は明治期の造語であり、
英語「education」の訳語として使われたのが最初です。
「education」とは、ラテン語の「引き出す」(educere)を由来とします。
「教育」とは「引き出す」ことであり、「詰め込む」とはまるで逆の概念です。
何もできない、わかっていない者に、一方的に「詰め込む」のではなく、
その新入社員が持っている長所、才能、強み、意欲を「引き出す」のが、
社員教育なのです。
親が家庭で、教師が学校で、子供を教育するのも、同じことがいえます。
子供をよく見て、話してみて、子どもの中にある素晴らしい芽を見つける。
そして、その芽を伸ばしていくことが子供への「教育」です。
私たちは人の欠点はよく目につきます。
特に自分ができていることを、人ができていないと、すぐわかります。
「なんであいつはこんなこともできないんだ」
「こんなこともできないようでは先が思いやられる」
とイライラしたり、心配するあまり、指摘してしまいます。
しかし人の長所はすぐにはわかりません。
その新入社員にも、その子供にも、自分にはない長所、強みがあるはずですが、
それはすぐにはわかりません。
大事なのは、まず相手の長所を発見することです。
そしてその長所を伸ばせるよう、力を尽くすのが「教育」です。
いま学校でも、会社でも、改めて
「能力や意欲を引き出す」という教育の役割が問われています。