【言辞施(1)】
お釈迦さまは、「もらう」事を考えずに「与える」事を考えなさい、と教えられた方でした。
そしてお金や物がない人でも与えることができるものの一つに
「言葉」があると教えられ、これを「言辞施」と言われます。
たとえば「あいさつ」ですが、これは言辞施の一つです。
あいさつがないと人間関係はきついものがあります。
職場や親戚付き合いもそうですが、夫婦でもそうです。
「おはよう」「おやすみ」「ただいま」「おかえり」など
最低限あいさつだけはしていきたいもので、
それもしないといつしか家庭は暗く、苦しいものになります。
どんなにケンカで腹立っても、疲れててしゃべりたくない時でも
表情は作れなくてもいいから、ぼそっとでもいいので、
あいさつは死守しなければ、
あいさつしないともう終わりだ、くらいの気持ちでしていきたいものです。
あちらがしてこないからこちらもしない、という人がありますが、
あいさつはこちらから、が基本です。
立場や年齢は気にする必要もありません。
こちらがあいさつしても向こうが返してこないから
損した気分になって、いつしかこちらもあいさつしなくなった、というケースがありますが、
返ってくる返ってこないに関係なくあいさつしていると、
いつしか向こうがするようになってきた、となっていきたいものです。
「呼べば呼ぶ 呼ばねば呼ばぬ 山彦ぞ
まず笑顔せよ みな笑顔する」
こちらがあいさつに心がけていないのに、
向こうからあいさつがないことにいきり立つ人は、
ちょうどこちらが「ヤッホー」と声をあげていないのに、
山彦が帰ってこないと腹を立てているようなものなのです。