【一水四見(1)】
「人の顔色を気にせず行動できる強い人間になりたい」
これは多くの人の望みです。
こんなことをしたら人はどう思うだろう、気分を害すのではないか、嫌われたらどうしようと
私たちはいつも人目を気にして悩んでいるので、
「人は人、オレはオレ」で信念を貫き通せたらどんなにいいだろう、とあこがれます。
しかし考えてみてください。
もしあなたがそういう人だったとしたら、あなたと接した相手はどう思うでしょう。
信念のある頼もしい人だ、と思ってくれる人ばかりではないと思います。
この人は平気で人の嫌がることを言う失礼な人だ、空気の読めない人だ、
とレッテルを貼られるかもしれません。
そうなれば自分の周りからだんだん人がいなくなり、
そこでまた困ることが出てくることになります。
そういう意味では人の顔色が気になる人というのは、
持ち前の鋭敏なセンサーで相手の気持ちを察知し、
人間関係を損なわないよう常に気を配っている人、と言えます。
人の顔色を気にせず行動できる、というのは、ある面長所ですが、
一方で、周りの人を気遣えないという短所となって表れることもあります。
逆に人の目が気になって積極的になれないという短所が、
相手の心に土足で入っていくことはない気配りのできる人、という長所にもなり得ます。
一見、短所に見えることも、実はその人の長所、
一見、長所に見えることが、実はその人の短所です。
自分では欠点だと思えて仕方ないことが、実は他の人はない強みでもあるのです。