親鸞に学ぶ幸福論

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新型コロナウィルスを仏教の視点で語ってみた

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世界中に激震を走らせている新型コロナウィルス。

今年始まるときにこんな事態を誰が想像し得たでしょうか。

オリンピックの観客抽選あたるかなと、やきもきする人はあっても、

延期か中止かと憂う人はなかったに違いない。

いつ何が起きるかわからぬ「火宅無常の世界」を改めて思い知らされます。

 

今回、新型コロナウィルスについて3回分のブログを書きました。

各界の人たちがこの度のコロナ騒動にさまざまな意見を発信していますが、

私は仏教講師ですから、

仏教を学んだ者しか言えない視点で書かなければと思い、

それを3回分にまとめました。

今日はその1回目です。

 

コロナウィルス感染拡大で世界中が大騒ぎの今、

親鸞聖人の教えを学ぶ私が思い返すのが

蓮如上人の「疫癘(えきれい)」のお手紙です。

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当時このごろ、ことのほかに疫癘とてひと死去す。

これさらに疫癘によりてはじめて死するにはあらず。

生れはじめしよりして定まれる定業なり。

さのみ深く驚くまじきことなり

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ここで蓮如上人が「疫癘」といわれているのは、疫病のことです。

応仁の乱で京の町が焼け野原になり、飢饉、疫病が大流行した延徳4年6月に

その京都に住まいしておられた蓮如上人が書かれたお手紙の一節です。

この年の7月、疫病を理由に元号が明応に改元されているので、

よほどひどい疫病の流行だったと想像できます。

 

しかもその頃の疫病といえば、

そもそもウィルスが原因とも分かっていなかった時代で、

薬も治療法もなく、感染しないための対策もわからず、

加えて当時の疫病は天然痘とかペストとかコレラとか、

今のコロナとは比較にならないものすごい致死率で、

流行すれば5人家族の2人が死ぬ、といった有様だったのですから、

今のコロナでみなが感じている不安よりずっと深刻だったと思います。

多くの人は「大変だ、大変だ」と、家に閉じこもって恐れおののいていたことでしょう。

 

その大騒動のさなかに、蓮如上人は

「さのみ深く驚くまじきことなり」

“そんなに深く驚くな”と書かれているのですから強烈です。

 


なぜ蓮如上人はこのように言われたのでしょうか。

続いて上人はその理由を

「これさらに疫癘によりてはじめて死するにはあらず」。

“疫病で初めて死ぬことになったのではなかろう”

と言われています。

「疫病だぞ、かかったら死ぬぞ、死ぬぞ」と慌てふためく人たちに

「疫病で初めて死ぬことになったのではなかろうに。疫病にかからなくても死ぬんだぞ」

と言われ、さらに

「生れはじめしよりして定まれる定業なり」

“死ぬことはもうハッキリしているんだ、生れたときから100%決まっているんだ”

と諭されています。

 

生あるものは必ず死に帰す、

100%死ななければならない、

しかもそれはいつ何時降りかかるか分からぬものだ、と今までどれだけお前たちに説法してきたか、

コロナウィルスで初めて分かったことではなかろう、

一日も早く生死の一大事の解決を急げ、と言ってきたことをどう聞いてきたのか、

との蓮如上人のお手紙です。

 

 

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