親鸞に学ぶ幸福論

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2019-01-01から1年間の記事一覧

飢餓と疫病と戦争を克服したユートピア

【幸福(3)】 創価学会や立正佼成会といった、戦後の復興期に急速に拡大した新興宗教は、 「これを拝んだら(これを唱えたら)ご利益がありますよ」が謳い文句でした。 彼らの言う「ご利益」の中身は、 貧・病・争の苦しみがなくなって、富・健・和になると…

人間の幸福感は複雑だ

【幸福(2)】 先回のメルマガで、アウシュビッツ収容所の労働者が、 一日一回支給される水のようなスープの中に たまに入る数粒のまめ、一切れのじゃがいもに 大きな喜びを感じ、人生に感謝した、というエピソードを紹介し、 こんな極限状態でも幸福感を抱…

フランクル『夜と霧』に幸福とは何かを思う

【幸福(1)】 フランクルの「夜と霧」には、人間の幸福とは何か、考えさせられる記述が多々ありますが、 今回はその1つを紹介します。 人間とは現在、自分の置かれている環境と比較して、 幸、不幸を判断するものだと思い知らされるエピソードです。 アウシ…

楽の元は苦であり、苦の元は楽である

【逆境(1)】 みな「楽をしたい」と望みます。 ではそのために大事な心得は何かといえば、 「苦をいとわない」ことです。 苦しみたくなかったら、安易に楽な道を選ばないことです。 楽をしたかったら、苦を避けないことです。 逆説的な主張ですが、これが事…

我が子を「なぜなぜ坊や」と呼んだエジソンの母

【恩(1)】 ある30代のお母さんから聞いた話です。 DVDで映画を7歳の子供と一緒に観ていた際、 「どうしてこの人は怒ってるの?」 「なんで泣いてるの?」 と子供がいろいろ質問してきたそうで、 せっかくいい映画を観ているのに子供の質問が煩わしくて、 …

東山彰良の『流』に一水四見を思う

私たちはお互いわかってもらえず、わかりもせず、 一人一人が底知れなく寂しい人生旅路を行く孤独な旅人であることをお釈迦様は 『独生独死独去独来(どくしょうどくしどっこどくらい)』 “人間は独り生まれ、一人死ぬ存在であり、 皆どこからか独りでやって…

「話せばわかる」は本当か。ブッダの答えとは

【独生独死独去独来(1)】 「話せばわかる」とはよく言いますが、 現実は話してもなかなか分かってもらえないものです。 「わかったよ」と言われたからといって、 わかってくれたと思ったら大間違いです。 その後のその人の行動を見ると、少しもわかってく…

何事も最初が最も大変で、ここを乗り切れるかどうかが大事

【精進(1)】 メルマガ・ブログに仏教の内容を毎日のように配信していると、 時々周りから「よく続けられるね」と言われます。 私にとってはメルマガを続けること自体は、 もう習慣の一部になっていることなので、 歯磨きや鉢の水やりと同様、とまで言って…

嫌な仕事を押しつけられてストレスを抱えている人に

【意業(1)】 上司や得意先から何かを依頼され、 「それは嫌だな」「やりたくないな」と思うことは誰でも経験があると思います。 そんな時、「なんでオレに押しつけるんだ」「なんでこちらの立場を考えてくれないんだろう」と いつまでも不平不満で仕事をし…

コスパがいいとか、生産性が悪いとか、こんなところにまで持ち出すな

【娑婆(2)】 夏目漱石の『草枕』の冒頭はよく知られています。 ーーーーーーーーー 山道を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい ーーーーーーーーー 心惹かれる書き出しで…

娑婆とは仏教用語でサハーと読む。その意味とは

【娑婆(1)】 刑務所での刑期を終えた人が出所し、 「やっぱり娑婆の空気はいいもんだ」などと使う「娑婆(しゃば)」という言葉、 元来は仏教の言葉で、刑務所の外という意味はどこにもありません。 私たちが生きている「この世」を指す言葉です。 昔のイン…

キレる高齢者問題。気をつけるべきは瞋恚

【瞋恚(1)】 コンビニのレジで60~70代の男性が、 10~20代の女性店員に当たり散らしている場面を見たことがあります。 店員も何で怒られているのかわからない様子で戸惑っていて、 店長らしき人がなだめにかかりますが、うまくコミュニケーションもできず…

仏教の眼施とはどんな意味か解説する

【布施(3)】 「眼施(げんせ)」という言葉があります。 『雑宝蔵経』(ぞうほうぞうきょう)に説かれる「無財の七施(むざいのしちせ)」の一つで、 「眼を施す」「眼を与える」という親切です。 といってもアイバンクのことではありません。 温かいまな…

日本に滞在する外国人との接し方で思うこと

【布施(2)】 イタリア文学者の須賀敦子さんは、 日本とイタリアの文学作品の翻訳を通して、 両国の交流に多大な貢献を果たした人ですが、 意外にも学生時代はフランスに熱い憧憬があり、 フランス文学を学ぶために留学したそうです。 そんな彼女がどうし…

嫌いだった父親の気持ちが今はわかる

【布施(1)】 夫のことを『旦那(だんな)』といいますが、 そもそもなぜ夫のことを「だんな」と呼ぶようになったのか、 実は元来は仏教由来の言葉なのです。 「旦那(だんな)」「檀那(だんな)」とは、『布施』のこと。 『布施』とは、人に財物などを施…

出家と在家を差別しない浄土真宗

【道俗(2)】 “「出家(僧)」も「在家(俗)」も差別なく、みな一緒である” と親鸞聖人が説かれたことは 当時の仏教界には青天の霹靂でした。 それまでの仏教は、極楽に往き悟りを開くのは、 仏道修行を積み、煩悩を落とすことができる「出家(僧)」だけ…

道俗を差別しない教えが仏教だと説かれた親鸞聖人

【道俗(1)】 「道俗」という言葉があります。 「道」とは僧侶のことで、出家の人、ともいいます。 家庭を持たず、肉も食べず、仏教の戒律を守り、仏道修行に打ち込む人のことです。 「俗」とは俗人のことで、在家の人、ともいいます。 家庭を持ち、肉も食…

同調圧力に屈するわけにはいかない、あなたの人生の目的は何ですか

【人生の目的(1)】 沈没しかけた船から海に飛び込むよう船長が説得を行う、有名なジョークがあります。 アメリカ人には「飛び込めばあなたはヒーローになれます」 ドイツ人に「飛び込むのはルールです」 イタリア人に「飛び込めばあなたは女性に愛されま…

業力不可思議・なぜ今私はここにいるのか・仏教の運命論

【業力(1)】 もう10年ほど前のことですが、 仏教講座に来られた40代のAさんは、 ちょうどバブルの絶頂期に入社された方でした。 その会社はボーナスが年3回出る優良企業です。 会社がAさんの携わっていた事業から撤廃したので、 新部署が決まるまで…

フランクル『夜と霧』から知る「生きる力」とは

【摂取不捨の利益(1)】 フランクルの『夜と霧』は、著者が体験した壮絶なアウシュビッツ収容所での生活が綴られ、読む人を圧倒します。 食事は日に一回与えられる水としかいえないようなスープ、 人をバカにしたようなちっぽけなパン、 それに「おまけ」…

長寿は不幸、長生きは悪いことと思い始めた日本人

【老苦(1)】 人類史において長らく「長寿」は貴重なことであり、幸福の大きな要素でした。 祝いの意を表す「寿(ことぶき)」という字が使われますし、 88歳の米寿のお祝い、99歳の白寿のお祝いなど、 長生きした区切りにお祝いの行事もありました。 つい1…

雪の結晶の観察が育む心

【人身受け難し(1)】 この画像は雪の結晶です。このように雪はみなきれいな正六角形の形をしています。 歴史上最初に顕微鏡で雪の結晶を見た人は、 まさか雪の一粒一粒の氷にこんな幾何学的な美しさがあるなんてと、 さぞこの自然の造形にさぞ驚いたでしょ…

謝罪が伝わらない意外な理由とは

【諦観(1)】 営業マンのA氏は、事故渋滞に巻き込まれ、 取引先の社長との商談に一時間も遅れてしまいました。 社長は「突然の渋滞ならしょうがないですよ」と、 何もなかったかのように受け流してくれたのですが、 商談自体はまとまらずに終わってしまい…

死後に私はどうなるのか、仏教の問い

【後生の一大事(2)】 「死んだら私はどうなるのか」 この問題を仏教では「後生の一大事」といいます。 この問いに今日どんな答えがなされているか、いくつか挙げてみます。 「今頃あの世で、奥さんと一献傾けているだろう」 このセリフは葬儀の際によく聞…

死んだらどうなるか、後生の一大事の重さを伝えられた親鸞聖人

【後生の一大事(1)】 「死んだらどうなるんだろう」 こんな問いを考えられた経験はあるでしょうか。 「そんなこと考えたこともないよ」と一笑に付す人もあるでしょうし、 「子供の頃ふと考えた」という人もあるかと思います。 私は小学生の頃、テレビの心…

業界(ぎょうかい)の常識と業界(ごうかい)の孤独

【業界(1)】 一般的に「業界(ぎょうかい)」といえば、 芸能界や音楽業界などを指し、 「業界人」「業界の人」といえば、 ミュージシャン、俳優、タレントから彼らのマネージャーや事務所の職員などを指します。 もっと広い意味で言えば、芸能界だけでな…

SNSいじめは、恥知らずの恥かかず

【愚痴(1)】 最近では、小中高生の間でSNSいじめが横行していると聞きます。 LINEグループから一人だけ外す、 グループ内で悪口、噂を流す、 「裏チャット」で盛り上がる、などのいじめです。 以前なら学校では針のむしろであっても、 帰宅後は家が…

夏目漱石『虞美人草』の一節に見る幸福観

【相対の幸福(1)】 夏目漱石の『虞美人草』にこんな言葉があります。 「ある人は十銭をもって 一円の十分の一と解釈する。 ある人は十銭をもって 一銭の十倍と解釈する。 同じ言葉が人によって高くも低くもなる」 一円札が財布に入ったり出たりする日常を…

説法する者の忘れてはならない自覚

【僧(1)】 私がまだ23歳、仏教講師になりたての駆け出しだった頃、 渋谷で開かれた先輩講師の講座に参加したときのことです。 講座修了後、質疑応答の時間で、 ある中年の女性が何かの質問をしました。 その質問自体は忘れてしまったのですが、その時、先…

ノーサイドの精神とは。ビジネスも政治も夫婦もこうありたい

【布施(1)】 ラグビーW杯の日本開催が迫っています。 ラグビーの魅力を経験者は「ノーサイド」の精神にある、と語ります。 「ノーサイド」とはラグビーで試合終了を指す言葉であり、 「試合が終われば勝利の側(サイド)も負けた側もない」という意味です…

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